太陽光発電投資の消費税還付について解説!対象となる経費や還付のメリットを解説

太陽光発電投資の消費税還付について解説!対象となる経費や還付のメリットを解説

「太陽光発電投資の消費税」を支払った際に、消費税還付を受けられる場合があります。消費税還付を受けられると失費の負担を軽減できるため、どのような条件で消費税還付が適用されるかについて知っておくことが重要です。
今回は、太陽光発電の消費税還付のメリットについて詳しく解説します。対象となる経費なども詳しく解説しているので、太陽光発電の消費税還付を受けたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

目次

太陽光発電投資の消費税還付とは?

太陽光発電投資の消費税還付とは?

そもそも消費税還付とは、売り上げで受け取った消費税よりも購入時に支払った消費税のほうが大きい場合に、超過した分を還付できる制度のことです。太陽光発電投資による消費税は、1年分をまとめて支払う原則課税の扱いになりますが、消費税還付の計算も1年間を通した消費税で計算します。
消費税の計算の公式は、「納付すべき消費税 = 課税売上高消費税 – 支払った消費税」で計算できます。還付金は消費税の支払い超過分を受けとる制度であり、支払った消費税が多いほど還付金は多くもらえます。つまり、太陽光発電投資の購入価格が売上高より多い場合は消費税還付を利用するメリットがあります。
しかし、消費税還付は誰でも適用されるわけではありません。消費税還付の条件に当てはまる方のみ受けられるため、ご自身が消費税還付を受けられるかどうかを事前に調べておくことが重要といえます。
太陽光発電を設置する際は、消費税還付を受けるのが一般的です。太陽光発電の初期費用は非常に高額であり、課税売上高消費税のほうが支払った消費税よりも高いため、多くの方が消費税還付の恩恵を受けられます。太陽光発電の初期費用が高い場合や発電量が少ない場合は、きちんと手続きを行い太陽光発電の消費税還付を受けるのが望ましいです。
「太陽光発電の消費税還付 = (1年間の売電収入 × 10%) – (1年間の経費 × 10%)」で、太陽光発電の消費税還付を計算できます。太陽光発電の初期費用が2,000万円であり、1年間の売電収入が1,200万円の場合は、1年間の売電収入のほうが低いため還付金を受けとれます。
しかし、太陽光発電の消費税還付を受けとるには、還付を受ける方の収入や還付が認められる項目を知っておくことが重要です。項目を知らないと、支払った費用が太陽光発電の経費として認められない場合があるため注意が必要です。

太陽光発電投資で消費税還付を受けるための条件

太陽光発電投資で消費税還付を受けるには、支払った消費税のほうが預かった消費税よりも多い必要があります。条件はそれだけでなく、消費税還付を受ける方の課税売上によっても還付を受けられるかどうかが変わります。
そもそも課税事業者でなければ消費税還付を受けらません。ここでは、どのような方が課税事業者に該当するかを解説します。

前々年度の課税事業者の売り上げが1,000万円を超える場合

前々年度の課税事業者の売り上げが1,000万円を超える場合は、課税事業者となるため消費税還付を受けられます。前々年度を基準とするため、太陽光発電を運用した初年度、2年目は消費税を納める必要はありません。事業を開始して3年目に売り上げが1,000万円を超える場合に、消費税を支払わなければならないと考えるとよいでしょう。
しかし、3年を経過しなくても消費税を支払わなければいけない例外があります。それは、特定期間に1,000万円の課税所得が発生する場合です。特定期間に課税所得が1,000万円を超えると消費税を納められると判断されるため、事業開始2年目であっても支払い義務が生じます。
個人事業主の場合は、前年の1月~6月の期間が特定期間であり、法人の場合は前事業年度の開始したときから6か月の期間が特定期間です。売り上げを計算する際は課税売上高ではなく、ご自身の給与額として計算することも可能です。

出資や資本金の額が1,000万円を超える場合など

新規設立法人であっても、基準期間がない事業年度の出資や資本金額が1,000万円を超える場合は消費税を支払う必要があります。なぜなら1,000万円も出資や資本金があると、消費税を支払える能力があるとみなされるためです。
また、基準期間の課税売上高が5億円を超えている者から、50%を超える出資を受けた場合も課税事業者になりえます。太陽光発電を個人事業主として運用する場合は出資などを考える必要がないため、出資や資本金の制度は気にしなくてよいでしょう。

免税事業者が課税事業者になる申請をした場合

年間の収入が1,000万円未満である免税事業者であっても、課税事業者になる申告をした場合は消費税還付を受けられます。インボイス制度の導入により、免税事業者の方が課税事業者になる申請を行った場合は消費税を納める義務が生じます。その際は消費税還付を受けとれるため、年間の課税売上高と年間の経費を計算して申請するとよいでしょう。
課税事業者になると、3年間は消費税を支払う必要がありますが、課税事業者になって還付を受けたほうがよいケースがあります。免税事業者の方が課税事業者に移行するかは、インボイス制度や消費税還付などを総合的に考えて選ぶべきです。免税事業者が課税事業者になる場合は、初めて事業を行った年の12月31日までに申請を行う必要があり、消費税還付の措置を受けられるのは1年間のみです。
現在免税事業者である方でも、今から課税事業者になることは可能です。すでに免税事業者である方が課税事業者になる場合は、前年に課税事業者になる申告を済ませておくと、翌年からは課税事業者として消費税還付を受けられます。課税事業者であっても、4年目以降に課税売上高が1,000万円を超えなければ、免税事業者に戻すことも可能です。消費税還付を受けてメリットがあるかは、事前に計算しておくとよいでしょう。

太陽光発電投資で消費税還付の対象となる経費

太陽光発電投資で消費税還付を受けられるかは、消費したものが太陽光発電に関わるかどうかで異なります。太陽光発電に関係のない経費は消費税還付の対象にならないため、どの科目が太陽光発電の経費の対象になるかを知っておく必要があります。太陽光発電と直接かかわりがあり、課税対象の経費であれば消費税還付を受けられます。
太陽光発電と直接かかわる経費をいくつか紹介します。まず、太陽光発電パネルや架台、パワーコンディショナーなどの設備は経費の対象です。設置工事費も経費の対象となるため、太陽光発電を設置する際の費用は概ね経費の対象となると考えるとよいでしょう。
設備を購入する際に、ローンを借りた場合はその利息も経費の対象です。太陽光発電を運用していくには、メンテナンスが必要です。保守点検やメンテナンスも経費となるため、課税売上高から差し引いて計算してください。太陽光発電投資のセミナーに参加した場合は、セミナー費用も経費として落とせる場合があります。勉強会としてセミナーに参加した場合は、太陽光発電に関わるセミナーかどうかで判断してください。太陽光発電を設置するには、土地の視察や不動産会社との打ち合わせを行う必要があります。移動する際にかかる費用は、旅費交通費として経費になります。
移動費だけでなく、その場で食事をした場合は飲食代が経費になる場合があります。太陽光発電を運用するために購入した書籍も経費になるため、購入した際のレシートなどはきちんと保管しておきましょう。

太陽光発電投資で消費税還付の対象とならない経費

太陽光発電に直接かかわる項目であると、消費税還付の経費の対象になります。しかし、なかには太陽光発電に関係のない項目を経費と計上して、消費税還付が認められない場合があります。ここでは、太陽光発電の消費税還付と勘違いしやすい項目についていくつか紹介します。
太陽光発電にかかわる飲食代は経費になりますが、友人や家族などのプライベートな飲食代は太陽光発電の経費の対象となりません。誰とどこで飲食をしたかが重要であり、太陽光発電投資と関係のない方との飲食は経費の対象外と考えましょう。
ほかに勘違いしやすい項目として、衣服が挙げられます。太陽光発電のメンテナンスを行う際に着用する衣服をプライベートでも着用すると、経費と認められない場合があります。プライベートでも着用すると、太陽光発電に関わる衣服ではなくプライベートの衣服と認識される恐れがあるため、仕事用とプライベート用の衣服はきっちり分ける必要があります。
太陽光発電投資に必要な自動車なども勘違いしやすい経費のひとつです。太陽光発電を設置する場所に車が必要な場合は、経費として落とせます。しかし、車のガソリン代などはプライベートと仕事用ときっちり分けないと、経費として認められない場合があります。高速道路を利用する際なども、ETCカードを仕事用とプライベート用の2つに分けておくのが望ましいです。

太陽光発電投資で消費税還付を受けるメリット

太陽光発電投資で消費税還付を受けるといくつかメリットがあります。免税事業者の方であっても、課税業者になったほうがよい場合があります。消費税還付の2つのメリットについて解説していきます。

利回りがアップする

太陽光発電投資で消費税還付を受けると、利回りがアップします。太陽光発電の初期投資は高額な経費がかかるため、消費税還付を受けると得をするケースがあります。消費税還付を受けるかは、太陽光発電を設置する前に検討しておくのが望ましいです。消費税還付を行うと、初期費用にかかった費用を早期に回収できます。

償却資産にかかる税金が減額できる

消費税還付を受けると、償却資産にかかる税金を減税できます。償却資産とは固定資産税の一種であり、建物や土地を事業用に利用する際にかかる税金のことです。償却資産税は太陽光発電の資産に対して1.4%の税金がかかるため、購入金額が多いと償却資産税の支払いも多くなります。
償却資産税をおさえるには、消費税還付を受けるのが望ましいです。たとえば、2,000万円の太陽光発電を購入した場合は、消費税が10%のため税込み2,200万円の初期費用が必要です。2,200万から1.4%の償却資産税がかかり、30.8万円がさらに課税されます。
一方、消費税還付を受けた場合は2,000万円の太陽光発電を購入しても、消費税還付を2,00万円受けると償却資産税は28万円になり、3万円ほど得をする計算になります。太陽光発電の購入金額が高ければ高いほど、償却資産にかかる減税が大きいため、どのくらいメリットがあるかを計算しておく必要があります。
その他の太陽光発電を導入するメリットは下記記事をご覧ください。
太陽光発電を活用した節税とは|法人・個人事業主向けに方法や計算方法を紹介

太陽光発電投資で消費税還付を受けるデメリット

太陽光発電投資で消費税還付を受けると、利回りがよくなりますが、デメリットもいくつかあります。メリット・デメリットを比較し、消費税還付を受けるかどうかを判断しましょう。ここでは、消費税還付を受けるデメリットを2つ解説します。

消費税を納める必要がある

消費税還付を受けるには、消費税を納めなければいけないデメリットがあります。課税事業者になると、課税売上高から10%の消費税の支払いが必要になります。免税事業者の方が課税事業者になると、損をする場合があるため考えて選択しなければいけません。
消費税を納める金額よりも消費税還付を受けたほうがとくになる場合のみ、消費税還付の手続きを進めるのがよいでしょう。免税事業者の方が課税事業者になった場合は、3年間は課税事業者として消費税を納める必要があります。免税事業者の方が課税事業者になって消費税還付を受ける場合は、どのくらいメリットがあるかを事前に確認しましょう。

事務処理の負担が増える

消費税還付を受けると、事務処理の負担が増えるのがデメリットです。償却資産税の減税を行うには経理処理を必要とするため、経理の管理をきちんと行わなければなりません。事務処理を税理士に依頼すると、経理の管理の委託料のほうが高くなり損をするケースがあります。
また、4年目の時期に免税事業者に戻したい方は忘れず手続きを行う必要があります。課税事業者になることで消費税還付を受けたり、インボイスの登録番号を発行できたりするメリットがありますが、手続きの手間などを総合的に考えて消費税還付を受けるべきかを判断しましょう。

太陽光発電投資で、消費税還付を受けるかべきかの判断基準

太陽光発電で消費税還付を受けると、利回りが向上するメリットがあります。しかし、消費税還付を受けるかどうかの判断基準を理解しないと、利回りが向上せず事務手続きの手間だけが増える可能性があります。ここでは、どのような判断基準で消費税還付を受けるべきかを解説します。

1.3年間消費税を支払えるかどうか

3年間消費税を払えるかどうかで判断するのもひとつの選択です。消費税還付を受けることを目的としても、その後の支払いができなければ意味がありません。初期費用が高い場合は消費税還付を受けられますが、総合的にどのくらいの支払いに差があるかを計算して判断するのが望ましいです。
課税事業者となった場合、4年目以降に年間の課税売上高が1,000万円以下である場合は、免税事業者に戻すことも可能です。ご自身で手続きできない場合は、税理士に依頼して計算してもらいましょう。

2.事務処理負担や税理士依頼にかかる費用について

事務処理の負担で判断するのもよいでしょう。消費税還付を受ける際は、通常必要のない手続きも増えます。太陽光発電に関わる経費をどのくらい支払ったか、売電収入による利益がいくらかをきちんと計算して申告しなければいけません。税務調査された場合に不適切な経理処理を行っていると、消費税還付が認められないことがあるので注意が必要です。
また、税理士に依頼する際は委託料も計算しましょう。複雑な手続きを税理士に任せると、ミスなく手続きできますがその分費用が発生します。依頼費用は年間で数十万円かかってしまう場合もあるため、総額を計算して税理士に委託するか検討しましょう。

太陽光発電投資の消費税還付手続きの流れ

太陽光発電投資の消費税還付手続きを行う際の流れについて解説します。消費税還付を受けるまでの流れは以下のようになります。

消費税還付金を受けとるまでの流れ

  1. 消費税還付金が受けられるか調べる
    ご自身が消費税還付金を受けられるかを調べましょう。免税事業者の方は消費税還付を受けられないため、課税売上高や太陽光発電にかかる失費について調べる必要があります。
  2. 消費税課税事業者選択届の提出
    免税事業者の方が課税事業者になる場合は、消費税課税事業者選択届の提出を行いましょう。消費税課税事業者選択届を提出することで、課税事業者になれます。
  3. 次年度に消費税および所得税の還付申告を行う
    還付申告を行うことで消費税還付を受けられます。課税事業者になっても、ご自身で消費税還付申告を行わないと、消費税還付を受けることはできません。
  4. 消費税を支払う
    課税業者になるため、3年間は消費税を支払う必要があります。
  5. 免税事業者に戻す
    課税売上高が1,000万以下である場合は、免税事業者に戻せます。消費税課税事業者選択不適用届出書を提出しましょう。

まとめ

今回は、太陽光発電投資の消費税還付の条件やメリットついて解説しました。すべての方が消費税還付の対象ではなく、いくつか条件を満たさなければなりません。消費税還付の条件を満たしてもメリットを得られない方もいます。そのため、課税事業者の手続きを行う前にきちんと計算しておく必要があります。ご自身の状況と照らし合わせて、どのくらい消費税還付を受けられるかを一度計算してみましょう。
太陽光発電の税金の種類についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。
太陽光発電にかかる税金の種類とは?節税対策もあわせて解説!

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