太陽光の消費税還付とは|条件や手続き方法、メリット・デメリットを解説

太陽光の消費税還付とは|条件や手続き方法、メリット・デメリットを解説

太陽光発電でも、消費税還付を受けられることはご存じでしょうか?特に太陽光発電を導入する年は支払う金額が多く、消費税還付を受けられるケースが多いです。

そもそも消費税還付とは何なのでしょうか?当記事では、消費税還付の概要や太陽光発電で消費税還付を受ける条件などを紹介していきます。

目次

太陽光発電の消費税還付とは?

消費税還付とは、仕入先等に支払った消費税が、消費者より預かった消費税を上回った場合、その差額を還付してもらえる制度です。太陽光発電に置き換えると、太陽光発電の導入やメンテナンスでかかった費用に対する消費税が、売電収入で預かった消費税を上回るといったようなケースです。

太陽光発電の消費税還付は、支払いが多い太陽光発電の導入年度に受けられることが多いです。例えば太陽光発電の導入工事で400万円の消費税を支払い、その事業年度に100万円の消費税を預かったとします。この場合、課税売上よりも課税仕入で支払った消費税の方が300万円多いため、その差額の300万円が還付されます。

ちなみに、太陽光発電の消費税還付の対象となる経費(支払った金額)には、以下のようなものが挙げられます。

  • 設備購入費
  • 設備工事費
  • メンテナンス費用
  • ローンの利息
  • セミナーの参加費

太陽光発電で消費税還付を受ける条件

太陽光発電で消費税還付を受けるためには、基準期間内における課税売上高が1,000万円を超える事業者でなければならないという条件があります。 なぜなら、課税売上高が1,000万円を超える事業者は自動的に課税業者になり、消費税の支払い義務が生じるからです。また、新規開業の場合は、消費税課税事業者選択届出書を提出することによって課税事業者になることも可能です。

一度課税事業者になると、以後3年間は消費税を納付しなければなりません。しかし、4年目からは「課税事業者選択不適用届出書」を提出することで免税事業者に戻ることができます。

冒頭で述べた基準期間とは、課税期間から2年前の期間を指します。例えば令和4年に確定申告をする場合は、以下の期間が対象です。

  • 個人事業者:令和2年1月1日~令和2年12月31日
  • 法人:(3月決算の場合) 令和2年の4月1日~令和3年3月31日

消費税還付の手続き方法

消費税還付の手続きをする際には、どのような手続きが必要なのでしょうか?以下の2点に留意して手続きを進めていきましょう。

必要な届出を提出する

必要な届出は、以下の2種類です。

「消費税及び地方消費税の申告書」は、事業者が消費税を正しく申告していることを確認するための書類です。事業者名や住所、支払った消費税の金額などを記載します。

「消費税の還付申告に関する明細書」は、消費税の還付額を算定するために必要な書類です。還付を受ける消費税額や、消費税が支払われた取引先や商品の詳細を記載します。

消費税還付金額の算出には、国税庁のホームページにある「確定申告書等作成コーナー」など計算機能のある申告書作成ツールを活用するのがおすすめです。

決められた期間に申請する

消費税還付の手続きは、消費税還付の対象となる課税期間の翌年1月1日から5年間です。この期間を過ぎると、還付金の請求権が消滅します。消費税還付の申請は、できるだけ早く行うようにしましょう。

消費税還付のメリット

消費税還付のメリットは何なのでしょうか?ここでは具体的に2つ紹介していきます。

節税対策ができる

消費税還付とは、課税仕入で支払った消費税が、課税売上で預かった消費税額を上回った場合、その差額を還付してもらえる制度です。消費税負担が軽減されるため、節税対策の一つといえるでしょう。

また、償却資産税を安く抑えることもできます。償却資産税とは固定資産税の一つで、償却資産に対して課税される税金です。1.4%〜1.5%の税率で設定されており、課税金額に対して税率をかけて計算されます。

太陽光発電に関する1,000万円の商品を購入した場合、消費税率を10%とすると、1,100万円を支払うことになります。そして、消費税をプラスした1,100万円に対して1.4%〜1.5%の償却資産税が課税されます。

しかし、消費税還付を受けることによって、1,100万円のうち消費税分の100万円が還付されるとします。すると、残りの1,000万円に対して償却資産税が課税されるようになるのです。消費税の節税により、償却資産税も節税することができます。

利回りが高くなる

消費税還付によって現金が手元に入るということは、実質的に得られる利益が高くなるということです。つまり利回りが高くなり、太陽光発電に投資したコストをより早く回収することができます。

消費税還付のデメリット

反対に、消費税還付のデメリットは何があるのでしょうか?下記で2つ紹介していきます。

事務処理が必要になる

消費税還付を受けるためには、還付申請を行わなければなりません。具体的には、「消費税及び地方消費税の申告書」を用意して税務署へ提出し、消費税の申告手続きを3年間行う必要があります。消費税還付を受けることで、事務処理の手間が増えることは間違いないでしょう。

もし手間をかけずに消費税還付を受けたいのであれば、税理士へ依頼することも可能です。しかしその場合は、別途コストがかかります。

税務調査が入る可能性がある

太陽光発電に限った話ではないですが、消費税還付の申請を行うと税務調査が入る可能性があります。税務調査が入ると業務時間が削られるだけでなく、ミスが分かると追加で徴税をされてしまいます。

申告ミスが心配な方は、税理士に依頼をすると安心でしょう。

まとめ

今回の記事では、太陽光発電の消費税還付について紹介しました。消費税還付とは、仕入先等に支払った消費税が、消費者より預かった消費税を上回った場合、その差額を還付してもらえる制度です。太陽光発電を導入した年に消費税還付が受けられるケースが多いです。

消費税還付を受けるためには様々な条件があるため、消費税還付の申請を検討している方は一度条件を確認してみてください。消費税還付を上手く活用して、太陽光発電の投資コストの早期回収を目指しましょう。

この記事の監修者

佐藤 稔(さとう みのる)

株式会社プレグリップエナジー 再エネ営業部

固定価格買取(FIT)制度開始以来、約10年にわたり太陽光発電所の開発・売買にたずさわり、1,000件以上の案件にかかわる。再エネ特措法をはじめ再エネ関連法令に精通しており、イレギュラーな案件での実績も豊富。発電所の買取では、お客さまごとのご要望に合わせた誠実な対応を心がけている。

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