竹がバイオマス発電に不向きだとされている理由
バイオマス発電に使用する燃料は様々ですが、竹は不向きだということを聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
竹は日本に豊富に存在するものですが、バイオマス発電の燃料には不向きだとされています。
その理由は、竹をボイラーで燃焼させると炉内にクリンカという溶岩を生成してしまうからです。
竹はカリウムを多量に含んでおり、灰の軟化温度が680〜900度と低く、大型のボイラーで燃焼させるとクリンカを生成し、焼却炉を構成する耐火材に張り付きます。
クリンカの悪いところは耐火材と同じ性質でくっつきやすく、くっついてしまうと重機やブレーカーを使わなければはがれません。
無理に剥がそうとすると耐火材の方が割れます。
一般的なボイラーで燃焼すると炉を傷めてしまうのです。
さらに塩素濃度も高いため、耐火物や伝熱管を腐食させやすいという特性もあります。
しかし、その竹を燃料に利用する専焼バイオマス発電所が山口県で始まりました。
竹をバイオマス発電の燃料にする方法
竹は成長力が非常に強く、根が森林へ拡大してしまうと他の樹木の成長を阻害してしまいます。
そのため、放置竹林の拡大防止や資源としての有効活用策が課題となっているのです。
竹がバイオマス発電の燃料として活用できれば、この課題を解決することができ、林業とバイオマス発電事業者の双方にメリットが生まれます。
竹を燃料に利用する技術の開発に成功したのは、日立製作所です。
▼参考ニュース
竹類を発電用木質バイオマス燃料と同等品質に改質する技術を開発|日立製作所
日立製作所は、竹が燃料に不向きだとされているカリウムと塩素を溶出させて、一般的な木質バイオマス燃料と同じ品質に改質できることに成功しました。
竹など成長が早い植物の断面は多孔質繊維で構成されているため、微粒化によって内部開放を行えばカリウムが溶出できることに気がつき、竹を粒径6mm以下まで微粒化し、水に浸してカリウムと塩素を溶出させて脱水すると、カリウム濃度と塩素濃度が低下したのです。
脱水後の粉末で作ったペレットを燃焼させると灰の軟化温度は1100度以上になり、人体に影響を与えないダイオキシン類レベルとされる木質バイオマスペレット燃料の規格レベルまで抑えることができました。
バイオマス発電を検討している人は、竹を燃料に使ってみてはいかがでしょうか。