太陽光発電は節税対策に優れている!具体的な節税対策方法を分かりやすく解説

太陽光発電は節税対策に優れている!具体的な節税対策方法を分かりやすく解説

太陽光発電を上手く運用すると、経費計上できるため節税対策になります。しかし、太陽光発電の節税の仕組みをしっかり理解しないと、単に太陽光発電を導入しただけでは損をする場合があります。
そこで今回は、太陽光発電が節税対策に優れている理由について詳しく解説します。具体的な節税対策方法も解説するため、太陽光発電の導入を検討している方はぜひ参考にしてください。

目次

太陽光発電の導入は節税対策にも繋がる

太陽光発電の導入は売電収入を得られるだけでなく、太陽光発電の初期費用や運用コストを経費計上することで節税できます。太陽光発電の上手な節税を行うには、節税対策の仕組みを詳しく理解しなければなりません。
近年では、再生可能エネルギーへの注目が高いです。なぜなら、太陽光発電を設置すると節税できるだけでなく、補助金をもらえる場合があるからです。これにより多くの企業が太陽光発電を取入れようと検討を始めています。

企業が導入できる太陽光発電の種類

節税対策を解説する前に、企業が導入できる太陽光発電の種類を紹介します。導入できるタイプは、主に2つに分けられます。発電した電力をどのように扱うかで方法が異なるため、発電した電力の運用方法について確認しましょう。ここでは、自家消費型と全量売電型に分けて解説します。

自家消費型

自家消費型とは、太陽光発電で発生した電力を自社の電力として使用する方法です。電力会社などに発電した電力を販売しないため、売電による売り上げはありません。自家消費型のタイプで運用する会社は、倉庫や工場、オフィスなどの電力を太陽光発電でまかなっています。自社の電力をすべて太陽光発電でまかなうと、大幅な電気代が削減でき会社の売り上げに貢献できます。
自家消費型タイプの太陽光発電は、電力会社に電力を売電しないため法人税は発生しません。固定資産税などは支払う必要はありますが、売電の収支を計算しなくてもよいため経理の手間が省けるメリットもあります。
これまでは、太陽光発電の電力をFIT制度で買い取ってもらう方法が一般的な方法でした。しかし近年では、FITの価格が大幅に下落しており、自家消費型に移行する会社も増加してきています。
自家消費型の太陽光発電を設置するかは、自社の電力使用量を確認して判断してください。自社の電力消費量が多い場合は、売電するよりも自社で電力を消費したほうが得をするケースがあります。近年では、電気代の高騰により自家消費型太陽光発電の需要は高まっています。

全量売電型

太陽光発電で発電した電力をすべて売電する、全量売電型の方法もあります。全量売電型の方法を選択すると、自社で得た電力を売電できるため収入を増やせます。FIT認定を取得した年度により、売電価格が高く設定されている場合があるため、状況によっては全量売電型を選択したほうがよい場合があります。
全量売電型は、電力会社に電力を売電するため法人税を支払う必要があります。法人税を計算するには、太陽光発電を運用するコストと電力会社に売電して得た収入をきっちり記録しなければなりません。太陽光発電の初期投資や運用コストが経費になるため、節税を考えている場合は全量売電型を選択したほうがよいでしょう。

企業が太陽光発電で支払う税金の種類

太陽光発電を運用すると節税できるメリットがあります。しかし、節税できるメリットだけでなく、支払わなければいけない税金がいくつかあるため、税金の種類について理解しておきましょう。ここでは、企業が太陽光発電で支払わなければいけない法人税、固定資産税、消費税について解説します。

法人税・所得税

企業が太陽光発電を売電する場合は、法人税を支払う必要があります。また、太陽光発電を個人事業主として運用する場合は所得税がかかります。法人税や所得税は所得にかかる税金であり、自家消費型で運用するタイプの場合は支払う必要はありません。
法人税や所得税は、太陽光発電で得た収入から維持費や修繕費など、経費を差し引いた金額に税金がかかるため、年間の収益やランニングコストをきっちり計算する必要があります。
法人税や所得税の計算は、自分でも計算できます。しかし、経費が多かったり、太陽光発電の売電収入が多かったりする場合は、収支の計算ミスや記載ミスが起こることが多いため、基本的には税理士に依頼するのがよいでしょう。

固定資産税

太陽光発電を運用する際は、固定資産税を支払う必要があります。固定資産税は、太陽光発電を設置する土地にかかる税金です。固定資産税は、建物がある場合と土地だけの場合では、固定資産税の額が異なります。建物に太陽光発電を設置している場合は既に建物と土地に係る固定資産税を納付しており、追加で固定資産税が発生することはありません。
一方、太陽光発電を土地に設置している場合は、雑種地として処理され、雑種地の評価額に応じた固定資産税を支払う必要があります。固定資産税は土地価格により大幅に金額が異なるため、事前にどのくらい支払うべきかを調べておく必要があります。

消費税

太陽光発電を運用する際は、消費税を支払う必要があります。しかし、年間の課税所得が1,000万円以下の場合は、免税事業者に該当するため消費税を支払わなくて済みます。
消費税を支払うと一見損をするように思えますが、消費税還付制度を利用すると得をする方もいます。消費税還付とは、初期投資などで太陽光発電にかかる経費のほうが売電収入よりも多い場合に、支払った分の消費税を還付できる制度のことです。
消費税還付を受けるには、課税事業者であることが必要です。したがって、免税事業者であるなら、課税事業者になる旨を申告しなければいけません。課税事業者になると3年間は消費税を支払わなければいけないため、消費税還付を受けたい場合はどちらが得かを計算しておきましょう。

自家消費型太陽光発電で使える節税方法

ここからは、具体的に太陽光発電の節税方法について解説します。まずは、自家消費型の太陽光発電で実施する節税方法について3つ紹介します。

設備投資費用を経費計上する

太陽光発電にかかる費用を経費計上する方法です。太陽光発電を購入した際の初期費用や運用していくためのランニングコストは、すべて経費計上できるため節税対策に生かせます。産業用の太陽光発電を購入設備は、償却資産の計上になり、減価償却として経費を処理します。

産業用の太陽光発電設備の法定耐用年数は、17年と決められています。そのため、17年間の間に初期投資として購入した設備費用を償却して節税を行います。減価償却は、定額法と定率法の2種類のどちらかを選択できます。
定額法の場合は毎年同じ額を償却していく方法であり、償却する金額がわかりやすいメリットがあります。定率法の場合は太陽光発電の設置年の利益圧迫を防げるため、太陽光発電を設置した年の経費を削減したい方は定率法がおすすめです。初期費用の合計や売電収入を計算して、得するほうを選択しましょう。

税制優遇制度を利用する

太陽光発電を運用すると、税制優遇制度を利用できる場合があります。税制優遇制度には、中小企業投資促進制度やカーボンニュートラル投資促進制度などがあり、税制控除を受けられます。

減価償却をまとめてできる即時償却を選択すると、太陽光発電にかかる費用を30%もしくは全額を購入年に償却できるため、太陽光発電を導入した年の税金を大きくおさえられます。ほかの事業の利益があり、経費を削減したい方は即時償却を選択するのが望ましいです。
即時償却以外にも、7%もしくは10%を税額控除する方法も選択できます。税額控除を選択すると課税所得からではなく、法人税額から直接7%もしくは10%を差し引けるためお得です。安定した収入が期待できる企業の場合は、即時償却ではなく税額控除を選択するのが望ましいでしょう。

中小企業経営強化税制による税額控除を受ける

自家消費型太陽光発電では、条件を満たすと中小企業経営強化税制による税額控除を受けられます。対象事業者は法人および個人事業主であり、資本金が1億円以下の法人または資本金を有しない法人のうち、常時使用者数が1,000人以下である場合です。中小企業経営強化税制は、資本金の額により税額控除を受けられる額が異なります。
資本金が3,000万円以下の法人や個人事業主の場合は、即時償却や10%税額控除を選択できます。一方、資本金が3,000万円~1億円以下の法人の場合は、即時償却や7%税額控除を選択できます。税額控除が可能な設備は、自家消費型太陽光発電設備や余剰売電型太陽光発電設備(自家消費率50%以上)の場合のみです。
太陽光発電の売電収入を目的とする場合、この中小企業経営強化税制の範囲ではありません。自家消費型太陽光発電を運用する場合は、中小企業経営強化税制による税額控除を利用すると、大幅に節税できるため利用をおすすめします。

全量売電型太陽光発電で使える節税方法

自家消費型太陽光発電の節税方法について解説しましたが、全量売電型太陽光発電で運用する場合でも節税方法もあります。ここでは、全量売電型太陽光発電で使える節税方法について解説します。

維持管理費と減価償却費を経費計上する

全量売電型太陽光発電でも、維持管理費と減価償却費を経費計上できます。太陽光発電を導入する際は初期投資が多くかかるため、費用はきちんと計算しておく必要があります。
太陽光発電を運用する際はメンテナンスや修理費、保険、固定資産税、諸経費などがかかり、これら費用は経費とみなされます。課税される所得から差し引けるため、節税をしっかり意識して運用しなければなりません。
また、産業用の太陽光発電の購入した費用は減価償却費として計上します。産業用の太陽光発電の法定耐用年数は17年と定められているため、17年間で購入した費用を分割して経費として税額控除できます。

太陽光発電にかかる減価償却費と税金の計算方法

太陽光発電にかかる減価償却費と、税金の計算方法について解説します。減価償却を計算する方法は、定額法と定率法の2種類あります。しかし、法人で太陽光発電を運用する場合は定率法を選択することが多いです。

定率法で減価償却を計算すると、産業用の太陽光発電の法定耐用年数が17年であるため、償却率は11.8%となります。固定資産税比率を1.4%とした場合に、どのくらいの税金がかかるか解説します。今回は、1,000万円の産業用の太陽光発電を購入した場合を想定して計算します。

減価償却費

初年度の減価償却費は、「取得価額 × 0.118」で計算できます。したがって、初年度の減価償却費は、118万円となります。翌年以降は「(取得価額 – 前年度の減価償却費) × 0.118」で計算できるため、翌年の減価償却費は104万760円です。

償却資産評価額

初年度の償却資産評価額は、太陽光発電を取得した期間に関係なく、減価償却は半年分のみを行います。したがって、「取得価額 × 減価残存率(1 – 0.118/2)」で計算できるため、941万円です。翌年の償却資産評価額は「前年度の評価額 × (1 – 0.118)」により計算できるため、829万9620円です。

償却資産税

償却資産税は、「償却資産評価額 × 0.014」で計算できます。したがって、初年度の償却資産税は13万1,740円であり、翌年の償却資産税は11万6,194円です。

減価償却費と償却資産税の試算

減価償却費と償却資産税の計算は、上記の公式で計算できます。減価償却費は定率法で行うと、年数が経つごとに償却できる割合や償却資産税の額が減ります。定率法で行うと、太陽光発電を設置する年数が短いほど償却できる割合が多いため、太陽光発電の設置初期の費用を軽減できるメリットがあります。

太陽光発電が節税対策に優れている点

太陽光発電は、ほかの節税対策と比べると優れている点がいくつかあります。具体的にどのような点が節税対策に優れているかを2つ解説します。

初期費用を回収できる

太陽光発電を運用すると、初期費用を回収できる点がメリットです。初期費用こそ高額で失費が大きいですが、償却資産として税制控除を受けられたり、国や自治体から補助金がもらえたりするため、節税対策が大きいといえます。
また、太陽光発電の運用を会社にあう方法で選択できるメリットもあります。自家消費型の太陽光発電を設置すると、倉庫やテナントの光熱費なども支払えるため、無駄な失費を防げます。全量売電型の太陽光発電を運用すると長期的に売電収入が見込めるため、ほかの事業と相性がよいでしょう。
太陽光発電のように自社の電力を自家発電でまかなえたり、発電することで収入を得られたりする投資はなかなかありません。法定耐用年数も17年と定められており、法人税や所得税をおさえられるメリットも大きいです。

資金効率面に関するメリットが多い

太陽光発電を運用すると、資金効率面でメリットが多いです。太陽光発電の初期費用を節税できるだけでなく、売電収入を得たり停電時に利用したりと節税以外のメリットもたくさんあります。FIT制度で定められた価格で電力を売電すると、高単価で電力を売電できます。FIT価格での売電は安定的な収入が期待できるため、あえて中古の太陽光発電を購入する方もいます。
資金効率を考えて太陽光発電を運用する場合は、収支シミュレーションが重要です。太陽光発電を運用するには、購入費用だけでなくメンテナンス費や修理費、保険、税金などのランニングコストが必要です。総合的にどのくらいメリットがあるかを事前に調べて、全量型太陽光発電か自家発電型太陽光発電にするかを検討しましょう。

まとめ

今回は、太陽光発電は税制対策に優れている点について解説しました。太陽光発電を上手く運用すると初期費用を償却資産控除として利用でき、法人税や所得税をおさえられるメリットがあります。

自社の電力代が高い場合は自家発電型太陽光発電を選択して、長期的に収入を得たい方は全量型太陽光発電を選択するのが望ましいです。太陽光発電にかかるランニングコストを計算して、条件にあう方法で太陽光発電を運用しましょう。

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