太陽光発電は、電気を売電して収入を得ることができます。しかし、その収入金額によっては確定申告が必要なことも。確定申告と聞くと難しいイメージを持つかもしれませんが、しっかりと理解をすれば難しくありません。
当記事では、確定申告が必要なケースや所得区分、経費について解説していきます。
確定申告とは
確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間で得た所得額をもとに所得税を計算して、国に申告する手続きです。
会社員として勤めている場合は、源泉徴収が行われるため、確定申告が不要であることが多いです。しかし、給与以外の所得が年間で20万円を超えると確定申告が必要になります。
例えば、会社員としての給与に加えて副業や投資での収入があるとします。もし副業や投資での所得が20万円を超えるのであれば、確定申告を行わなければなりません。また、個人事業主やフリーランスも同様です。給与として報酬を得ていないため、確定申告を行うケースがほとんどでしょう。
確定申告は、申告書などの書類を税務署に持参または郵送、もしくはe-Taxを使ってネット経由で提出することができます。
太陽光発電で確定申告が必要なケース
確定申告は、給与以外での所得が年間で20万円を超えると必要とお伝えしました。太陽光発電では売電することで収入を得られますが、具体的にどのようなケースで確定申告が必要になるのでしょうか?以下3つのパターン別に紹介していきます。
産業用太陽光発電の場合
産業用太陽光発電は、10kW以上の太陽光発電を指します。システムの出力が10kWを超えると年間所得が20万円を超えることが多く、確定申告をするのが一般的です。
ただし、売電収入を事業所得とする場合に限り、所得が38万円を超えた時点で確定申告を行います。売電収入が事業所得にあたるのは、システムの出力が50kW以上であったり、太陽光発電の設備に対してフェンスなどを設置して一定の管理を行うなどして、事業として認められたときです。
住宅用太陽光発電の場合
住宅用太陽光発電は10kW未満の太陽光発電を指します。住宅用で発電した電気は余剰売電となるため、自家消費して余った電力しか売電ができません。所得は20万円を下回ることが多く、住宅用太陽光発電で確定申告をするケースは少ないといえます。
売電収入が20万円以下でも確定申告が必要なケース
売電収入が20万円以下でも、以下のケースは確定申告が必要です。
- 売電収入以外にも収入があり、合計すると所得が20万円を超える場合
- 給与年収が2,000万円以上ある場合
- 還付申告を行う必要がある場合
給与年収が2,000万円以上あると勤めている企業で年末調整ができず、確定申告を自身で行います。また、還付申請を行う場合も個人での確定申告が必要です。
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売電収入における所得区分
先ほど太陽光発電の売電収入が事業所得になる例を紹介しましたが、売電収入は以下の3つに該当する可能性があります。それぞれどのような場合に該当するのか紹介していきましょう。
雑所得になる場合
雑所得とは、所得税法で定められている10種ある所得区分のうちの一つで、他に9つある所得区分に当てはまらないものを指します。太陽光発電による売電収入が雑所得に該当するのは、住宅用太陽光発電など、電気を売ることを主目的としていないと判断される場合です。
事業所得になる場合
事業所得とは、個人が自営業やフリーランスなどの独立した事業活動を通じて得た所得を指します。具体的には、以下のようなケースです。
- 個人事業主や法人が太陽光発電事業を行う場合
- 他に事業を行っていて付随業務として太陽光発電を行う場合
事業所得に該当するかどうかは状況によって異なるため、あらかじめ所轄の税務署へ相談しておくといいでしょう。
不動産所得になる場合
不動産所得とは、土地や建物など不動産の貸付けなどで得られる所得です。賃貸アパートに太陽光発電設備を設置して、発電した電力をその賃貸アパートの共用部分で使用し、余剰電力を売却して所得を得た場合などは不動産所得に該当します。
太陽光発電に関する経費の種類
所得は収入から経費を引いて算出します。太陽光発電に関する所得も同様で、以下のような経費を差し引くことが可能です。
減価償却費
太陽光発電設備は減価償却資産に該当するため、設備の購入費用は購入した年にまとめて費用計上するのではなく、数年に分けて減価償却費として計上します。償却方法は定額法と定率法の2種類があり、償却期間は17年です。
固定資産税
固定資産税は、土地や建物、太陽光発電設備などの固定資産に対して課される税です。固定資産税は、主に産業用が課税対象となります。また、太陽光発電設備を設置するための土地を購入した場合は、その土地にかかる固定資産税についても経費として計上できます。
メンテナンス費用
メンテナンスは太陽光発電設備を維持するために必要であり、経費として計上できます。メンテナンス費用には、以下の内容が含まれます。
- 設備の点検・修理
- 清掃
- 部品交換
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その他の諸経費
他にかかる経費としては、損害保険料やローンの利子などが挙げられます。これらを経費として計上する際には、領収書や契約書などを適切に保管しておきましょう。
まとめ
当記事では、太陽光発電で確定申告が必要なケースについて解説しました。確定申告は、給与以外での所得が20万円を超える際に行わなければなりません。
所得は売電収入から太陽光発電に関する経費を引いて算出しますが、経費にはメンテナンス費用や減価償却費を含めることができます。
確定申告について正しく理解し、必要であれば適切に申請を行いましょう。