太陽光発電の寿命はどのくらいなのでしょうか?一般的には、太陽光発電の寿命は20〜30年といわれています。この寿命について理解する上で知っておきたい言葉が「耐用年数」です。耐用年数には、法定耐用年数と実際の耐用年数の2つの意味があります。
それぞれどのような意味なのでしょうか?当記事では、耐用年数の概要や耐用年数を長くする方法などを紹介していきます。
太陽光発電設備の耐用年数に関する基礎知識
太陽光発電の耐用年数には、以下の2つの意味があります。
- 法定耐用年数:減価償却費の計算をするために用いられる税法上の耐用年数
- 実際の耐用年数:設備の寿命の目安となる稼働年数
それぞれ異なる意味を持つため、使い分けには注意が必要です。まずは法定耐用年数について解説していきます。
法定耐用年数
法定耐用年数とは、家電製品や自動車などの消費財について、その製品が正常に機能する期間を法的に定めたものです。この法定耐用年数は、減価償却資産における減価償却費を求めるために用いられます。
この法定耐用年数は実際にどのくらいなのか、住宅用と産業用に分けて紹介していきます。
住宅用太陽光発電設備の法定耐用年数
住宅用太陽光発電とは、10kW未満の太陽光発電を指します。住宅用太陽光発電の場合、売電するための事業用資産に該当しないケースがほとんどであり、減価償却資産とはなりません。そのため、法定耐用年数も定められていません。
産業用太陽光発電設備の法定耐用年数
産業用太陽光発電とは、10kW以上の太陽光発電を指します。産業用太陽光発電の場合、売電するための事業用資産に該当し、減価償却資産になります。太陽光発電は「機械・装置以外のその他の設備の主として金属製のもの」に該当し、17年の法定耐用年数が定められています。
減価償却の概要とメリット
減価償却とは、時間の経過により資産価値が下がる建物や設備に対して、毎年経費として取得に要した金額を分配する方法です。減価償却の計算方法には定額法と定率法があり、どちらも法定耐用年数をもとに計算します。
減価償却には様々なメリットがあります。まず、節税対策になるという点です。法定耐用年数の間は、毎年経費として計上することができます。そのため利益を抑えることができ、節税対策になるのです。また、財務状況がよく見えたり、試算が手元に残るなどのメリットもあります。
太陽光パネルの耐用年数
法定耐用年数は税法上の耐用年数を意味しますが、「耐用年数」自体はどのくらいの寿命なのかを意味します。つまり、太陽光発電が耐えて稼働する期間です。では、太陽光発電の耐用年数はどのくらいなのでしょうか?
太陽光発電は比較的新しい技術であり、耐用年数の参考になるデータが少ないのが現状です。しかし、国内の太陽光発電設備には30年以上稼働している実績が複数あります。
部品ごとにみていくと、国内メーカーの太陽光パネルの出力保証は20〜30年のものが多いです。そのため、太陽光パネルの耐用年数は20〜30年が目安であることが分かります。中には40年以上を目指すメーカーもあり、他の部品と比べて耐久性が高いことが分かります。
なぜなら太陽光パネルはモーターなどのように常に稼働している部分がないため、壊れにくいという特徴があるからです。しかしながら、定期的なメンテナンスや清掃を怠ると本来の寿命を下回る可能性が高くなります。
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太陽光パネルが劣化する原因
できるだけ長く稼働させたい太陽光パネルですが、どのような点に気を付ければいいのでしょうか?太陽光パネルが劣化する原因を2つ紹介します。
パネルの汚れやひび割れ
雨や風などによってパネルが汚れたり、経年劣化によってひびが入ってしまうことがあります。パネルの汚れは定期的なメンテナンスで清掃を行うことが大切です。ひび割れを見つけ次第、メーカーに依頼をして修理をする必要があります。
層間剥離
層問剥離とは、モジュールに水分が付着することで、太陽光パネルの表面ガラスと太陽電池セルのまわりにある合成樹脂がはがれて白くなってしまう現象です。層問剥離が起きている部分に空気が入ることで電気抵抗が起き、太陽光パネルの劣化につながります。
層間剥離の原因は湿気です。湿気が多い地域では、層間剥離が起きる可能性が高くなります。層間剥離を発見したら、できるだけ早く修繕をする必要があります。
パワーコンディショナーの耐用年数
パワーコンディショナーとは、主に太陽光発電で発電した電気を自宅用もしくは売電用に変換する電気機器です。電化製品のようなものであるため、太陽光パネルと比べると寿命が短く、故障も多いです。
電化電化パワーコンディショナーの耐用年数は10〜15年といわれており、そのタイミングで交換をするのが一般的です。しかし、20年で太陽光発電を廃棄することが決まっている場合は、20年間使用し続けるケースもあります。
パワーコンディショナーが劣化する原因
パワーコンディショナーは複数の部品が備わっており、常時稼働するパーツが多いため、経年劣化は避けることができません。定期的なメンテナンスを行い、10〜15年で交換をするのが最善の方法でしょう。
太陽光発電設備の寿命を長くするポイント
太陽光発電設備の寿命を長くするためには、定期的なメンテナンスが重要だとお伝えしました。もう一点、気を付けることができるポイントがあります。それぞれ具体的に紹介していきます。
定期点検やメンテナンスを怠らない
何度もお伝えしているように、定期点検やメンテナンスは不可欠です。メンテナンスを行うことで、発電効率の低下や故障を防ぐことができ、太陽光発電設備の寿命を長くすることができます。
ちなみに、定期点検は2017年のFIT法改正により義務化されています。定期点検を怠った場合、法的な罰則が科せられる可能性があるため、法的な観点からも定期点検は怠らないようにしましょう。
パワーコンディショナの設置場所に注意する
パワーコンディショナーは、湿度が高い場所には設置しないようにしましょう。湿度が高いと部品が錆びてしまい、劣化が進んでしまう可能性があります。
設置場所については、太陽光発電の規模や使用目的によって変わってきます。メーカーや業者に相談した上で、劣化しにくい設置場所を選ぶといいでしょう。
まとめ
当記事では、太陽光発電設備の耐用年数について紹介しました。太陽光発電は20〜30年は稼働するといわれています。しかし、定期的なメンテナンスを怠ると、本来の寿命を下回る可能性が高くなります。太陽光発電の劣化を防ぎ、できるだけ長く太陽光発電を稼働させることができるようにしていきましょう。