「太陽光発電の出力制御って何?」
「太陽光発電の出力制御の対象になることはある?」
出力制御という言葉は聞いたことはあるが、どういうものか、なぜ行われるのか分からない方も多いのではないでしょうか?
この記事では、太陽光発電の出力制御の概要や行われる理由、その仕組みやルールについて解説します。これから太陽光発電の導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
太陽光発電の出力制御って何?
太陽光発電の出力制御とは、電力の需要と供給を一致させるために、電力の供給を一時的に制限することです。もし出力制御の対象となると、一定期間売電ができず、その期間の売電収入が得られなくなります。
これまで実際に出力制御が行われたのは、種子島や屋久島などの離島を中心に数回程度です。他の地域で実施された実績はないため、過去の実績を考えるとそこまで大きなリスクと捉える必要はないかもしれません。
しかし今後は、太陽光発電の発電容量が増えたり、全国で公平性を保つ動きが取られたりして、出力制御の対象となる可能性があります。そのため、出力制御について理解し、必要に応じて対策を取ることが重要です。
太陽光発電の出力制御が行われる理由
太陽光発電の出力制御が行われる理由は、大きく2つです。
- 電力が無駄になってしまうから
- 電圧や周波数に影響が出るから
それぞれ解説していきます。
電力が無駄になってしまうから
電気には、溜めておくことができないという特徴があります。一度生成された電力は、短期間しか保持できません。そのため、電気は常に需要と供給を一致させる必要があります。
太陽光発電は、発電量が天候に左右される発電システムです。そのため、発電量が電力需要を大幅に上回ってしまった場合、その電力は無駄になってしまいます。このような事態を防ぐために、出力制御が行われます。
電圧や周波数に影響が出るから
太陽光発電から電力会社に送電する電力網は、特定の電圧と周波数で動作するように設計されています。発電量が特定の数値を上回ったり下回ったりすると、これらのパラメータが変動し、電圧や周波数に影響が出てしまいます。
その結果、大規模停電や電気施設の不調などを招きかねません。そのため、出力制御を行い、電力網の安定性を保つ必要があるのです。
太陽光発電の出力制御の仕組み
出力制御が決まったら、順番に沿って出力制御を行う仕組みです。まず出力制御の対象となるのは、大手電力会社の火力発電による電力です。火力発電は、比較的発電出力のコントロールがしやすいことが要因です。
太陽光発電が出力制御の対象となるのは、5番目です。日本ではカーボンニュートラル実現のために再生可能エネルギーの普及率向上を目指しているため、太陽光発電の優先順位は低いです。
そのため、太陽光発電が出力制御の対象となる可能性は低いと言われていました。しかし、太陽光発電の設置数が増え、発電量が増加していることが出力抑制の発生に繋がっております。
出力制御に関するルール
太陽光発電の出力制御に関しては、下記3つのルールがあります。
- 旧ルール:出力制御は年間30日まで
- 新ルール:出力制御は年間360時間まで
- 指定ルール:出力制御は無制限
これらは、太陽光発電の設置地域や電力系統への接続申込をした時期によって異なります。そのため、どのルールが適用されるかは各電力会社に確認しましょう。
ちなみに、現在(2023年7月時点)出力制御の対象とならないのは「10kW未満の太陽光発電」のみです。そのため、産業用太陽光発電を導入している企業または個人は、出力制御について理解し、次で紹介するような対策を講じておく必要があるでしょう。
太陽光発電の出力制御への対策
太陽光発電投資において、出力制御中の売電収入が入らないことは大きなリスクです。
そこで、有効な対策として、休業補償保険に加入する方法があります。休業補償保険とは、何らかの理由で太陽光発電が稼働停止となった場合の損失を補償する保険です。出力制御だけでなく、自然災害などで故障した際の損失も補償してくれるものもあります。
保険の補償内容は保険会社によって異なるため、しっかりと確認するようにしましょう。
関連記事:太陽光発電所の保険|加入するメリットや保険の種類、費用相場を紹介
まとめ
この記事では、太陽光発電の出力制御の概要や出力制御が行われる理由、その対策について紹介しました。出力制御を実施しないと、電気の供給が過多になり、電圧や周波数に影響が出て大規模停電を引き起こしてしまったりする恐れがあります。
出力制御のルールは、太陽光発電の設置地域や電力系統への接続申込をした時期によって異なります。そのため、どのルールが適用されるのかは確認して把握しておくことが大切です。
もし出力制御に対するリスクが大きいと判断した場合は、保険に加入するのがおすすめです。出力制御に限らず、太陽光発電に関して正しい知識を身につけていきましょう。