太陽光発電投資とは?デメリットや失敗を防ぐための対策を徹底解説

太陽光発電投資とは、太陽光発電で生み出した電力を電力会社へ売って収益を得る投資方法です。本記事では太陽光発電投資のデメリットを明確にし、失敗を防ぐための対策を解説します。

目次

太陽光発電投資の仕組み

太陽光発電投資では、太陽光パネルによって太陽の光を電力に変換し、その電力を電力会社に売却して利益を得ます。売却価格は、国による制度である「固定価格買取制度(FIT制度)」によって保証されています。

ガスなどの大気汚染物質を出さず、エネルギー源も無尽蔵であることが最大の特徴です。太陽光発電は、次世代のクリーンかつ持続可能なエネルギーとして近年関心を集めています。

太陽光発電投資では、太陽光発電で生産された電力をFIT制度にのっとり電力会社に売却します。FIT制度とは、再生可能エネルギーで発電した電気を、ある一定期間中一定した価格で電力会社が買い取ることを国が約束する制度です。10kW未満だと10年間、10kW以上だと20年間電力の買い取りが保証されるため、長期間安定した収益が得られます。

太陽光発電投資のメリット

太陽光発電投資は他の投資と比べると安心して収入を得やすく、節税もできるなどのメリットがあります。以下では、太陽光発電投資の3つのメリットを詳しく紹介していきます。

他の投資と比べて利回りがよい

太陽光発電投資の1つめのメリットは、不動産や株式投資などと比べて利回りがよいことです。利回りとは投資した金額に対しての収益割合のことを指し、利回りが高いほど投資効率が優れた投資先といえます。

利回りの高い投資には、不動産クラウドファンディングやソーシャルレンディングなどがあり、平均利回りは3%から8%程度です。太陽光発電投資はこれらの投資と比べた利回りがさらに高く、年平均10%ほどの利回りが見込めます。

減価償却が適用されるため節税につながる

太陽光発電投資では、減価償却が適用されて節税が期待できることがメリットといえます。減価償却とは、設備投資など経年劣化が生じる資産の取得にかかった費用を、耐用年数に応じて一定期間に配分して計上する会計方法のことです。

太陽光発電の設備は固定資産として認識されるため、この減価償却が適用されます。ただし、減価償却が適用されて設備を導入したときに全額が必要経費として計上されるわけではありません。設備の価値が徐々に低下し、その減少額が毎年の所得から差し引かれるため、課税される所得が減らせて節税ができます。

収支計画が立てやすくリスクが低い

太陽光発電投資の3つめのメリットは、将来を見通した収支計画が立てやすく、損をするリスクが低いことです。太陽光発電で得られる収益の割合は、FIT制度によって国から保証されています。具体的な売電単価は電気を買い取る発電所により異なり、安いと1kWhあたり10円 + 税から、高いと1kWhあたり40円 + 税程度で買い取ってもらえます。

FIT制度ではこのような売電価格を、20年間先まで国が固定で保証しています。そのため、売電価格が突然下落する心配がなく、20年後まで同じ値段で電気を売ることが可能です。従って、太陽光発電投資で将来にわたり得られる収入がシュミレーションしやすく、低リスクで投資を始められます。

太陽光発電投資のデメリットと対策

太陽光発電投資は利回りのよい投資ですが、デメリットもあることを覚えておきましょう。ここでは、発電量や売電収益についてのデメリットと対策について解説します。投資開始後に後悔しないように、太陽光発電投資への理解を深めておきましょう。

天候・災害による収支の影響がある

太陽光発電投資の最大のデメリットとして挙げられるのが、天候や災害などの不確定な要素が直接収支に影響を与えてしまうことです。太陽光発電は、太陽の光を利用して電力を生み出すため、曇りや雨の日、夜間、冬で日照時間が短い季節や地域などは太陽光が足りずに発電量が低下します。

また、台風や雪、ひょうなどの災害が起こると太陽光パネルの破損が生じ、発電できなくなることもあります。加えて破損した太陽光パネルが飛び散ったり、壊れたまま使い続けて有害物質が流出したりすると、損害賠償が請求されるケースに発展するリスクもあります。

対策

天候や災害により収入が不安定になってしまうことへの対策としては、太陽光パネルの設置場所や敷地面積に気をつけることです。まず、設置場所は日当たりのいい南向き、できれば影のできにくい場所が最適です。また、斜傾角度は20度から35度程度が理想です。

敷地面積については、1kWあたり10㎡〜15㎡ほどの面積が必要です。パネルの表面にゴミやホコリがついていると発電効率が低下するため、清掃や点検をこまめに行って発電効率を維持しておきましょう。

電力量が抑制される可能性がある

発電量が抑制されることにより、売電できる電力量が減ってしまうかもしれないことも、太陽光発電投資のデメリットのひとつです。電力会社の送電網の容量には、一定の上限があります。太陽光発電による発電量が大きいと、電力ネットワークの安定性を保つために出力制御がかかり、発電量が抑制される場合があります。

加えて、電力ネットワークが電力供給の急激な変動に対応できない場合も出力制限がかかります。発電量の出力制限があると、維持費用に変化はないにもかかわらず売電収入が減少してしまい、思うように収入が得られない場合があります。

対策

電力量が抑制される可能性がある懸念への対策は、出力制限のかかっているエリアでの投資は避けて、まだ制限がかかっていないエリアで太陽光発電投資をすることです。

出力制限がよくかかる地域としては九州地方がもっとも多く、次いで四国地方や中国地方や東北地方でも制御がかかることがあります。これらのエリアを避けて太陽光発電投資を行えば、出力制限によるデメリットは解消できます。

また、出力制限によって売電収入が下がった発電所でも安く購入できる場合があるため、あえて出力制限エリアを買ってみるのもひとつの手です。

FIT終了後の売電収益が不安定になる可能性がある

太陽光発電投資の3つめのデメリットは、FIT制度が終了したあとも継続して売電ができるのか、またできる場合の売電価格はいくらになるのかなど、将来の投資予想が立てにくいことが挙げられます。

ただし、世界全体の流れとして脱炭素化へ向けて動いており、日本も2030年までに温室効果ガスを46%削減するという目標を掲げています。そして、そのためには太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーによる発電が不可欠です。従って、FIT制度が終了したあとも電力会社が電力の買い取りを続けることは高い確率で予想されます。

対策

FIT制度終了後も太陽光発電投資を続けて、安定した収入を継続して得るには投資のために必要な費用を早期回収して売却するほか、高利回り物件や発電量が多い物件を買うのがおすすめです。

産業用太陽光発電では売電が20年間保証されるため、卒FITを迎える時期は早くても2032年です。さらに、将来の売電価格や太陽光発電投資による具体的な収入を予想するのは難しいです。そのため、FIT制度が適応されているうちに初期費用やシステムの処分費用を回収し、利益が出てFIT制度が終了する頃には物件を売却できるようにしておくのが安心です。初期費用や必要経費を先に回収しておけば、FIT後に赤字で悩む事態は回避できます。

さらに、利回りが高い物件や発電量が多い物件を買うのも、卒FIT後も安定した投資収入を

得るためにできることです。高利回り物件なら、FIT制度適用中に投資費用を回収できます。また、FIT制度終了後の太陽光発電所の価値は、FIT単価ではなく発電量に重きがおかれます。そのため、発電量が多い発電所のほうが中古で売却しても高額買い取りをしてもらえる可能性が高いです。

太陽光発電投資がおすすめのケース

太陽光発電投資は低リスクで安定した収益が見込めるため、投資が初めての初心者やプライベートの時間が少ない方におすすめです。以下では、太陽光発電投資がおすすめのケースやその理由について詳しく紹介しています。

太陽光発電投資がおすすめの人

  1. 初めて投資を行う人
  2. 投資商品の管理に手間や時間をかけたくない人
  3. 安定した収益が期待できる投資商品を探している人

太陽光発電投資がおすすめの人としてまず挙げられるのが、投資を初めて行う人です。投資商品には、さまざまな種類があります。中でも太陽光発電投資は他の投資商品と比べて、勉強に必要な費用や時間をあまりかけずに始められます。

そもそも太陽光発電は、経済産業省の資源エネルギー庁が中心で動いており、FIT制度などの優遇体制も整っています。電力会社ごとのプランの違いや、ランニングコストなどを含めた収益のシミュレーションをしっかりと行えば、初心者の方でも安定した収入が期待できます。

投資商品の管理に手間や時間をかけたくない人にも、太陽光発電投資はおすすめです。太陽光発電投資は不動産投資や株式投資のように、一人ひとりと契約したり、企業の業績見込みなどを詳しく分析したりする必要がありません。

太陽光発電投資を始める初期の段階では、それぞれの発電所を比較して選んだり、収入のシミュレーションをしたりする必要があります。しかし、その後はあまり手間をかけなくとも太陽光によって発電して、それを売電することで収入が得られます。

太陽光発電投資がおすすめの人の3つめは、市場や経済に左右されにくく、いつでも安定した収入が得られる投資商品を探している人です。太陽光発電投資の売電価格や期間は国によるFIT制度により保証されており、産業用太陽光発電の場合は20年間先まで約束されています。

加えて世界規模で脱炭素化が拡大している昨今では、FIT制度が終了した後も売電システムが継続する可能性が高いといえます。太陽という枯渇しないエネルギーをもとにしている太陽光発電投資は、長期的に安定した収入が期待できます。

太陽光発電投資と他の投資を比べた場合の利点

太陽光発電投資とその他の投資では、投資として安定して収入が得られることやリスクが少ないこと、利回りが高いことなどの点で違いがあります。それぞれの投資との比較をしっかりと行い、太陽光発電投資への理解を深めましょう。

不動産投資との比較

不動産投資と比べたときの太陽光発電投資のメリットは、低リスクかつ保証が多く安定性がある、初期費用0円で高利回りなどの点があります。

不動産投資では災害保険が利用できますが、投資自体の保証人などはいません。一方の太陽光発電投資では、災害保険に加えてメーカー保証も利用できるほか、国のFIT制度により20年間の売電が保証されます。

さらに、太陽光発電投資は不動産投資と比べると家賃が下落するリスクや、騒音などの近隣トラブルが起こるリスクがないです。また、頭金が0円から始められ、利回りも不動産投資より高いです。

株式投資との比較

株式投資と比較したときの太陽光発電投資の利点には、低リスクである程度のリターンが得られることや、利回りが高いことなどが挙げられます。株式投資とは、企業が発行する株式を売買することで収入を得ます。

株式投資は成功したときのリターンが大きいですが、株価の下落や企業の破綻など失敗時のリスクも大きいです。また、株式投資の利回りは一般的に3%から7%であり、太陽光発電投資の7%から10%のほうが利回りは高いといえます。

太陽光発電投資でよくある失敗と解決策

太陽光発電投資は初心者でも始めやすく安定した収益が得られますが、いくつかのポイントを押さえないと大きな損失を生み出してしまうリスクもあります。ここでは、太陽光発電投資で陥りがちな失敗点とその解決策について紹介します。

物件選びに関する失敗

太陽光発電投資でよくしてしまう失敗の1つは、物件の選び方にあります。障害物があったり、雑草対策が不十分であったりすることから太陽光パネルに影ができている、パネルの汚れがひどい、写真よりも設備が劣化しているなど、設備面の問題があとから発覚することがあります。

加えて、近くに崖や傾斜面がある、民家など他の建物と距離が近いなどの構造面の欠陥や、水はけが悪く土壌が侵食されているなどの土地の問題が見つかる場合もあります。

現地を確認せずに書類上の情報だけで物件を決めてしまうと、契約後に維持費が余計にかかったり、大がかりな工事が必要になったりします。太陽光発電投資を行うために物件を選ぶときは、現地調査を行い自分の目でしっかりと物件を確認しておきましょう。

自然災害に関する失敗

太陽光発電投資でよくある2つめの失敗例は、自然災害への対策不足によるものです。太陽光発電投資で用いる太陽光パネルや発電設備などは、災害によって損壊する可能性があります。

強風や台風などにより設備が吹き飛ばされる、飛来物によってパネルが破損する、大雨によって冠水被害で電気系統が故障する、大雪によってパネルの基礎が歪むなど、天災は太陽光発電投資にとっての大敵です。

このような自然災害から太陽光発電設備を守るためには、保険への加入が不可欠です。プランの種類や補償内容はそれぞれ異なるため、じっくりと比較検討を行いましょう。また、前提として災害ハザードエリア内の物件購入を避ける、耐久性の高い製品を選ぶ、地盤や架台の強化を行うなどの対策も有効です。

メンテナンスに関する失敗

設備のメンテナンスや保守面に関する失敗も、太陽光発電投資ではよくある落とし穴です。メンテナンスでまず気をつけたいことは、初期不良がないかどうかです。

太陽光パネルやパワーコンディショナー、接続箱、ケーブルなどの各パーツに初期不良や施工ミスがあると、発電量の低下や設備故障の拡大、火災事故などにつながるおそれがあります。施工の際は技術力の高い業者に依頼し、その後も定期的なメンテナンスを行うなどして、設備不良や欠陥をはやめに見つけられる体制を整えておきましょう。

さらに、メンテナンスでは機器の整備だけでなく、設備週周辺の雑草対策を行うことも重要です。伸びた雑草を放置しておくと太陽光パネルに影ができ、発電が妨げられたり発電効率が悪くなったりします。

太陽光発電における雑草対策は、草刈りや除草剤散布、防草シートの設置などが効果の高い方法です。設備のメンテナンスと併せて、雑草が生い茂らないようにこまめな手入れを行いましょう。

税金に関する失敗

太陽光発電投資でのよくある失敗例の4つめは、税金や節税対策についてです。代表的なケースとしては、太陽光発電投資に使った経費を計上し忘れてしまい、負担するべき税金が増えてしまうことが挙げられます。

経費とは、投資などの事業を行うときに利益を生み出すために実際にかかった費用を指します。そして、経費計上とは収益からこの経費を差し引くことです。経費計上を行うと計算上の収益が小さくなるため、納めるべき税金の金額もその分少なくなります。

太陽光発電投資として経費計上できる項目はおよそ7つで、メンテナンス費や固定資産税、損害保険料、融資の利息、土地の賃貸料金、周辺機器の費用、その他の費用があります。太陽光発電投資のための維持費用などを経費計上しないと、納めるべき税金額が増えてしまいます。節税対策のためにも、経費計上は忘れずに行うようにしましょう。

税期に関する失敗には、消費税還付の手続き忘れも挙げられます。消費税還付とは、売上にかかる消費税より仕入れにかかる消費税が大きかった場合、その差額を返してもらえる制度です。太陽光発電投資の場合は、売電収入にかかる税金より設備費用などにかかる消費税の方が大きいと、差額分の税金が戻ってきます。

消費税の課税事業者として太陽光発電投資を行う場合、償却負担税が軽くなったり、利回りが上がったりします。投資の初期段階で売上より設備費用などがかかる時期は、とくに還付金額も多いです。損をしないように、忘れずに消費税還付手続きを行いましょう。

太陽光発電投資を成功させるためのポイント

太陽光発電投資を成功させるには、業者選びやリスクマネジメントが重要です。以下では、この2つのポイントについて詳しく説明します。

信頼できる業者に依頼する

太陽光発電投資を成功させるためのポイントのひとつは、信頼できる業者を選ぶことです。適当に業者を選んでしまい、倒産や詐欺に遭ってしまうケースもあります。ネットで業者を検索して実績や口コミを調べる、登記情報提供サービスや帝国データバンクで登記状況の確認や与信調査を行う、実際に業者の方と会ってみるなどして、信頼できる業者を見つけましょう。

リスクマネジメントをおこなう

太陽光発電投資を成功させるための2つめのポイントは、リスクマネジメントをしっかりと行うことです。太陽光発電投資で黒字収入を得るには、設備投資を含めた費用のシミュレーションをしたり、メンテナンスや災害対策を行って設備を維持したりする必要があります。できる対策を怠って損をしないためにも、リスクへの対応は事前に取り組んでおきましょう。

まとめ

今回は太陽光発電投資のデメリットを踏まえ失敗を防ぐための対策について解説しました。太陽光発電投資は電力会社へ売電を行い、収益を得ます。自然災害や電力抑制などのリスクはありますが、事前にリスクマネジメントを行うことで安定した収益を得られる確率を高められるでしょう。

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