太陽光発電にかかる固定資産税はいくら?申告しないとどうなるかも解説

太陽光発電にかかる固定資産税はいくら?申告しないとどうなるかも解説

「太陽光発電に固定資産税はかかる?」「固定資産税の計算方法について知りたい」

太陽光発電の導入を検討している方は、このような疑問を抱えているのではないでしょうか?この記事では、そもそも太陽光発電に固定資産税はかかるのかを説明した上で、計算方法や申告しないとどうなるのかなどを解説していきます。

ぜひ最後までご覧ください。

そもそも太陽光発電に固定資産税はかかる?

固定資産税とは、土地や建物などの固定資産に対して課される税金です。太陽光発電に固定資産税がかかるかどうかは、所有している太陽光発電が家庭用か産業用かで異なります。それぞれ説明していきます。

家庭用太陽光発電の場合

出力10kW未満の家庭用太陽光発電の場合、原則固定資産税はかかりません。なぜなら、家庭用太陽光発電は、個人利用を目的とする資産としてみなされるため、課税の対象ではないからです。

ただし、家庭用太陽光発電による売電収入を事業収入とする場合は、課税の対象となることがあります。例えば、以下のようなケースが挙げられます。

  • 個人所有する賃貸住宅に太陽光発電を設置する場合
  • 発電した電力を住宅兼事業所で事業用に使用する場合
  • 発電した電力で商品を生産・販売する事業者である場合

固定資産税の対象になるのか判断が難しい場合は、税務署に相談するようにしましょう。

産業用太陽光発電の場合

出力10kW以上の産業用太陽光発電の場合、固定資産税がかかります。産業用はどのような目的で利用していたとしても、事業用としてみなされるからです。

ちなみに、太陽光発電の固定資産税には、「再生可能エネルギー発電設備に係る課税標準の特例措置」という減税特例があります。ただし、2023年12月現在では、適用期限は令和5年度末までとなっているため、利用時には期限や条件などを確認するようにしましょう。

固定資産税がかかっても産業用太陽光発電を選ぶ3つのメリット

産業用太陽光発電には固定資産税がかかることがデメリットですが、一方で多くのメリットがあります。ここでは3つのメリットを紹介するので、これから太陽光発電の導入を検討している方はぜひ参考にしてください。

1.FIT期間が20年になる

家庭用と産業用では、FIT制度の適用期間が異なります。FIT制度とは、太陽光発電などの再生可能エネルギーで発電した電力を、国が一定期間固定価格で買い取ることを保証する制度です。

このFIT制度が適用される期間が家庭用の場合10年、産業用の場合20年となっており、産業用の方が10年長く買い取りが保証されています。つまり、長期にわたって安定した収入を得ることができ、その分高い利回りとなるでしょう。

2.1kWあたりの設置費用が安い

産業用の方が1kWあたりの設置費用が安いこともメリットとして挙げられます。

太陽光発電にはパワーコンディショナーや送電設備などが必要ですが、産業用でも家庭用でも一つで稼働します。つまり、容量が大きくなればなるほど、1kWあたりの設置費用が安くなるのです。

3.補助金を利用できる可能性がある

産業用の場合、補助金を利用できることがあります。例えば、東京都など一部の地域では、地球温暖化対策に貢献する事業に対して補助金を設けています。 

補助金の内容は年度によって変更される場合があるため、申請前には自治体にあらかじめ確認をとっておくようにしましょう。

太陽光発電にかかる固定資産税はいくら?

太陽光発電にかかる固定資産税を計算する際には、まず評価額を計算します。評価額の計算方法は、以下の通りです。

取得価額×(1-減価率)=評価額(課税標準額)

太陽光発電設備の減価率は0.127です。ただし、初年度のみ減価率は半分の0.064となります。そして、評価額に税率(1.4%)をかければ、固定資産税を算出できます。

仮に、1,000万円の太陽光発電設備を購入したとして、初年度の固定資産税を計算してみましょう。

評価額:10,000,000×(1-0.064)=9,360,000固定資産税:9,360,000×1.4%=131,040

初年度の固定資産税は131,040円であることがわかりました。

2年目以降は前年の課税標準額を取得価額、減価率を0.127として計算します。この例に沿って計算すると、2年目の課税標準額は8,171,280円となり、固定資産税額は114,397円です。

このように減価償却を続けていき、課税標準額が150万円を下回るとその年度以降の固定資産税は免除されます。法定耐用年数は17年ですが、課税標準額が150万円を下回れば納税は不要になります。

太陽光発電にかかる固定資産税の申告方法

太陽光発電にかかる固定資産税を支払うには、毎年1月31日までに申告しなければなりません。市町村の税務事務所もしくは「eLTAX(地方税ポータルシステム)」にて提出できます。

初めて固定資産を申告する場合は、以下3つの書類が必要です。

  • 償却資産申告書
  • 種類別明細書の別表
  • 増加資産・全資産用

また、2年目以降に減少した資産がある場合には、別表「減少資産用」に変更内容を記載します。納税通知書は毎年4月〜6月頃に届き、通常は4回に分割して納税します。

太陽光発電の固定資産税を申告しないとどうなる?

固定資産を自治体に申告しないと、後からまとめて納税することが求められます。また、仮に固定資産税を納め忘れてしまった場合は、督促状が届き、長期滞納をすると差し押さえ通知がくる恐れがあります。

納税は国民の義務なので、申告方法や支払い方法を調べて、納税忘れのないように注意しましょう。

まとめ

この記事では、太陽光発電の固定資産税について解説しました。産業用太陽光発電の場合、固定資産税の納税対象となります。とはいえ、産業用にはFIT期間が20年間と長く、1kWあたりの設置費用を安く抑えられるメリットがあります。

税金についてはしっかりと調べて、申告・納税忘れがないように注意しましょう。

この記事の監修者

佐藤 稔(さとう みのる)

株式会社プレグリップエナジー 再エネ営業部

固定価格買取(FIT)制度開始以来、約10年にわたり太陽光発電所の開発・売買にたずさわり、1,000件以上の案件にかかわる。再エネ特措法をはじめ再エネ関連法令に精通しており、イレギュラーな案件での実績も豊富。発電所の買取では、お客さまごとのご要望に合わせた誠実な対応を心がけている。

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