FIP制度とは|FIT制度との違いや種類、注意点をわかりやすく紹介

FIP制度とは|FIT制度との違いや種類、注意点をわかりやすく紹介

脱炭素化社会を目指すために注目されている太陽光発電。この普及を促すため、2012年7月にFIT制度が開始されました。そして2022年4月、FIT制度に加えてFIP制度が新たに始まりました。

FIP制度とは、再生可能エネルギーによる電気を売電する際、市場価格にプレミアム(補助額)を上乗せする制度です。FIT制度との違いやFIP制度の種類、そして注意点について解説していきます。

FIP制度とは

FIP制度とは「フィードインプレミアム(Feed-in Premium)」の略で、再生可能エネルギーによる電気を売電する際、市場価格にプレミアム(補助額)を上乗せする制度です。これにより、太陽光発電事業者は市場価格よりも高値で売電することができます。

これまでのFIT制度では、発電した電気を電力会社に直接買い取ってもらう仕組みでした。しかしFIP制度では、発電事業者自らが電力市場に売電します。発電事業者としてあるべき姿にすることで、太陽光発電の自由競争を促すことが目的です。

最終的にはプレミアムなしで電力市場に参入して、太陽光発電の普及率をさらに引き上げ、脱炭素化を目指すことがゴールとなります。

FIP制度の理解を深める4つのキーワード

FIP制度はFIT制度よりも複雑な仕組みになっています。FIT制度の理解を深めるためには、まず以下の4つキーワードを理解しましょう。

基準価格

基準価格はFIP価格とも呼ばれ、再生可能エネルギーによる電気を供給する上で必要なコストや事業者の利益をもとにして算出された価格です。しばらくの間はFIT価格と同水準にすることが定められていますが、技術の進歩や市場状況に応じて適宜見直される予定です。

参照価格

参照価格とは、市場取引などで発電事業者が期待できる収入を指します。参照価格は市場価格とは異なり、市場価格をもとに以下の計算式で算出します。

参照価格=市場価格+非化石価値市場の価格-バランシングコスト

プレミアム

プレミアムとは、基準価格と参照価格の差です。言い換えると、事業者は参照価格にプレミアムを上乗せした価格で売電することが可能です。仮に電力市場の価格が高騰して参照価格が基準価格を上回った場合、プレミアムは0円になります。

バランシングコスト

バランシングコストについて理解するために、まずはインバランスについて解説していきます。電気は基本的に溜めることができないため、常に需要と供給を一致させる必要があります。しかし、何らかの要因で電気の需要と供給が一致しないことをインバランスといいます。

インバランスを防ぐために、事業者は発電量の計画値を作成して実際の発電量と一致させるように努めます。仮にインバランスとなった場合は、ペナルティコストを支払わなければなりません。

しかし、太陽光発電の場合は天候や気候などが発電量に影響を及ぼすため、計画値通り発電するのが難しいです。そこで特別措置として、太陽光発電には一定額を交付することになりました。これをバランシングコストといいます。

FIT制度との違い

FIP制度について大枠は理解したものの、FIT制度との違いが分からない方もいるのではないでしょうか。FIT制度とFIP制度の違いを、以下の項目別に解説していきます。

目的の違い

どちらも再生可能エネルギーの普及を促すための制度であることは間違いありませんが、目的が異なります。FIT制度の目的は、太陽光発電を広めることです。固定価格という分かりやすい仕組みや優遇制度を設けて、再生可能エネルギーの普及を促しました。

対してFIP制度は、再生可能エネルギー自立を後押しし、完全自由競争を促すことを目的としてます。つまり、発電事業者のあるべき姿に戻るということです。しかし、いきなり自立するのは難しいため、プレミアムを上乗せして交付します。

売電収入の違い

FIT制度における売電収入は、一定期間固定価格での買い取りが保証されています。つまり、売電収入はある程度の見通しを立てることができます。

一方FIP制度における売電収入は、参照価格にプレミアムを上乗せした価格であり、市場価格の影響を受けます。そのため、売電収入の見通しは立てにくいでしょう。

ただ、しばらくの間はFIT制度と同水準の売電収入にすることが定められているため、現時点で売電収入による収益に大きな違いはありません。

インバランスの違い

インバランスとは、先ほど解説した通り電気の需要と供給の不一致です。FIT制度では、「インバランス特例」によってこの需要と供給の調整が免責されていました。

対してFIP制度は、自由競争を目的としており、発電事業者として扱われます。つまり、計画値通りに発電しなければならず、一致しなかった場合はインバランスコストを支払う必要があります。

非化石価値取引の違い

非化石価値とは、化石燃料を使わない発電方法で発電された電気の「CO2を排出しない価値」です。この価値は、売買することができます。

FIT制度においては、国民が再エネ賦課金を負担しているため、非化石価値は国民のものと考えられています。一方FIP制度では、電力市場に参入するため、非化石価値取引が可能になります。

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FIT(固定価格買取制度)とは|買取価格の推移やメリット・デメリットを解説

FIP制度の種類

FIP制度は複数の国で導入されていますが、国によってプレミアムの設定方法が異なります。プレミアムの設定方法は、以下の3種類です。それぞれの詳細やメリット・デメリットを紹介していきます。

プレミアム「固定型」FIP

プレミアム固定型FIPとは、固定のプレミアムを上乗せする方法です。プレミアム固定型FIPのメリットは、電力需要の高い時間帯に売電することで、売電収入を最大化させられる点です。反対に電力需要の低い時間帯に売電すると、収益性が低下してしまいます。

プレミアム「固定型(上限・下限あり)」FIP

固定型(上限・下限あり)FIPとは、上限と下限の範囲内で固定のプレミアムを上乗せする方法です。この方法は、市場価格の変動による影響を受けにくいというメリットがあります。一方で、上限価格・下限価格の設定が難しいのが欠点です。

プレミアム「変動型」FIP

プレミアム「変動型」FIPとは、市場価格に応じてプレミアムを変動させる方法です。プレミアム「変動型」FIPは、市場価格の変動によって収益が大幅に増減するのを防ぐことができます。デメリットは、市場価格が低下した場合にプレミアムの負担が大きくなる点です。

FIP制度を利用する際の注意点

FIP制度は、再生可能エネルギーを自立した電源へと成長させるための重要な一歩です。しかし、注意しなければならない点もあります。以下2つの点は留意しておきましょう。

運用コストが高い

FIT制度には、バランシングコストがかかります。バランシングコストをできるだけ抑えようとすると、手間や時間がかかります。これまでのFIT制度は発電量の管理が不要だったため、運用の手間が増えることは間違いありません。

また実際にバランシングコストが発生してしまった場合、運用コストが高くなってしまいます。バランシングコストを想定して運用コストを見積もっておくといいでしょう。

長期的な戦略が立てづらい

これまで導入されていたFIT制度は、固定価格での買い取りが保証されており、売電収入の見通しが立てやすいという特徴がありました。しかしFIP制度は、市場価格の変動の影響を受けるため、売電収入の見通しが立てにくいというデメリットがあります。

そのため、投資費用の回収計画など長期的な戦略が立てづらい点には注意が必要です。売電収入の見通しを下回らないようにするには、蓄電池を活用したり、市場価格が高いタイミングで売電するなどの方法があります。

まとめ

当記事では、FIP制度の概要やFIT制度との違い、FIP制度の注意点などを紹介しました。FIP制度は、太陽光発電の自立を後押しし、自由競争を促すことが目的です。運用コストや売電収入の増減には注意をして、FIT制度をうまく活用していきましょ

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