水素発電とは?メリット・デメリットや将来性を詳しく解説!

水素発電とは?メリット・デメリットや将来性を詳しく解説!

水素発電は脱炭素化社会を実現する手段として注目されています。そこで気になるのが、水素発電のメリットやデメリットです。

この記事では、水素発電のメリット・デメリットをはじめとして、水素発電の概要や将来性、導入事例を紹介しています。水素発電について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

目次

水素発電とは?

水素発電とは、水素を燃料として電気を発生させる方法です。具体的には、まず水素を燃やして蒸気を発生させます。その蒸気でタービンを回転させ、電気を発生させる仕組みです。

水素発電は水素火力発電とも呼ばれ、化石燃料に代わる燃料として注目されています。水素発電が普及すれば、温室効果ガスの排出量も削減でき、海外から化石燃料を輸入する必要がなくなります。

水素発電のメリット

水素発電のメリットは、以下の3つです。

  • 温室効果ガスを排出しない
  • エネルギー自給率が向上する
  • 日本の産業の発展につながる

それぞれのメリットについて説明していきます。

温室効果ガスを排出しない

水素発電は、水素のみを燃料とした場合、発電時にCO2を排出しません。そのため、脱炭素社会を実現する手段の一つとして注目されています。

しかし、水素を生成する過程でCO2が排出されることがあります。なぜなら、水素を生成するには、熱エネルギーや再生可能エネルギーなどの1次エネルギーを使用するからです。

熱エネルギー(火力発電)を使用する方法だと、CO2が発生してしまいます。そこで、再生可能エネルギーを使用したり、水や他の資源から生成したりする方法が推奨されています。

エネルギー自給率が向上する

水素発電が普及すれば、エネルギー自給率が向上することもメリットです。2021年度時点の日本のエネルギー自給率は13%であり、他の先進国と比べて低い値となっています。日本は化石燃料の割合が高く、その化石燃料は海外からの輸入に頼っているからです。

エネルギー自給率が低いと、世界情勢によってエネルギー価格が高騰したり、エネルギーが不足したりする事態が想定されます。そのため、エネルギー自給率の向上は喫緊の課題となっています。

水素発電が火力発電に取って代われば、この自給率の向上が可能です。なぜなら、水素発電は水や下水汚泥、家畜の排泄物などさまざまな資源から生成できるからです。水素を生成する技術が発展すれば、輸入に依存せずにエネルギーを生み出せるようになるでしょう。

参考:激動するエネルギーの「今」を知る!「これから」を考える!「エネルギー白書2023」|資源エネルギー庁

日本の産業の発展につながる

日本では水素発電の技術が発達しています。特に、水素と酸素を反応させて発電する燃料電池において、日本は世界トップの特許出願数を誇っているのです。

もしこの技術を海外に輸出すれば、日本の産業の発展につながります。もちろん日本国内でも、水素関連のビジネスが生まれることで、経済の発展に大きく寄与するでしょう。

水素発電のデメリット

対して水素発電のデメリットとして、以下の3つが挙げられます。

  • 燃えやすく爆発する可能性がある
  • 発電コストが高い
  • 認知度が低い

それぞれのデメリットについて見ていきましょう。

燃えやすく爆発する可能性がある

水素は既存の燃料と比べて燃えやすく、爆発する可能性があります。海外では水素タンクで爆発事故が起きたこともあり、取り扱いには注意が必要です。

現在では、水素に既存の燃料を混ぜて発電する方法が採用されています。水素の混焼率を30%程度から徐々に高めていき、将来的には水素100%にしていく見込みです。また、燃焼器が燃えやすいことから、燃焼器の技術開発も進められています。

発電コストが高い

水素発電はまだ技術が十分に発展しておらず、発電コストが高いこともデメリットの一つです。水素の生成や輸送、貯蓄、発電にはそれぞれ設備が必要であり、全てを整備するには膨大な費用がかかります。

発電コストが高いと、既存のエネルギー価格を大きく上回ってしまい、なかなか導入が進まないでしょう。そのため、水素サプライチェーンにおける技術の進歩、そして低価格での安定供給が求められています。

認知度が低い

水素発電はまだまだ認知度が低いこともデメリットとして挙げられます。水素発電に対する消費者の認知度が低いと、水素関連の商品が購入されにくく、市場が拡大しません。

そのため、国を挙げて水素発電の認知拡大に取り組み、水素関連の市場を拡大していくことが重要になります。

日本における水素発電の現状と将来性

水素発電における課題は多くあるものの、他国と比べて日本の水素発電の技術は進んでいます。例えば、トヨタは2018年に燃料電池バス「SORA」を発売し、東京都内で路線バスとして利用されています。他にも、自動車や産業用電力などに利用されており、生活で目にする機会は増えてきました。

実は日本は、2017年に世界で初めて「水素基本戦略」を策定しました。この戦略では、水素を「S+3E」(Safety、Sustainability、Stability + Energy)という考え方のもと、安定的でコスト効果の高いエネルギー源として位置づけています。

そして、2023年6月には水素基本戦略を改定し、水素産業戦略を新たに追加しました。日本の技術や製品を国内外に普及させ、産業競争力を強化するための戦略です。このことから、日本は水素エネルギーの発展に力を注いでいることがわかります。つまり、水素発電の将来性は非常に高いといえるでしょう。

水素発電の導入事例

水素発電の導入事例として、2022年6月に発表された内容を紹介します。CO2フリー水素サプライチェーン推進機構(HySTRA)や川崎重工業、大林組、関西電力、神戸市は、オーストラリアから輸送した水素を発電用燃料として利用しました。

そして、水素をエネルギーとして利用するための製造、輸送、貯蓄、発電というサプライチェーンが一つにつながるモデルケースを構築したのです。5者は、本実証で得られた経験を活かして、水素発電の普及拡大・社会実装に取り組んでいくとのことです。

まとめ

この記事では、水素発電のメリット・デメリットをはじめとして、現状や将来性、導入事例を紹介しました。

水素発電は脱炭素社会の実現に貢献する手段として注目されています。しかし、まだまだ技術が進歩しておらず、コストが高いことが課題です。日本においては、政府や企業が一体となって、水素発電の普及に取り組んでいます。

もし水素発電が普及すれば、日本のエネルギー自給率は向上し、産業の発展にも寄与してくれるでしょう。

この記事の監修者

佐藤 稔(さとう みのる)

株式会社プレグリップエナジー 再エネ営業部

固定価格買取(FIT)制度開始以来、約10年にわたり太陽光発電所の開発・売買にたずさわり、1,000件以上の案件にかかわる。再エネ特措法をはじめ再エネ関連法令に精通しており、イレギュラーな案件での実績も豊富。発電所の買取では、お客さまごとのご要望に合わせた誠実な対応を心がけている。

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