2023年10月から開始したインボイス制度ですが、どのような内容かご存知でしょうか?また、太陽光発電事業者はインボイス制度に登録するべきなのでしょうか?
この記事では、インボイス制度の概要や太陽光発電事業者は登録すべきかどうか、インボイス制度の登録方法を紹介していきます。インボイス制度についてよくわからない方は、ぜひ参考にしてください。
そもそもインボイス制度とは?
インボイス制度は、2023年10月1日から始まった新しい消費税に関する制度です。この制度では、特定の情報が記載された「適格請求書(インボイス)」を使って、消費税の計算を行います。
消費税とは、事業者が商品やサービスを売る際に、その売上に対して税率を掛けて計算される税金です。事業者は、商品を仕入れる際に支払った消費税(仮払消費税)を、売上から得た消費税から差し引くことができます。
しかし、インボイス制度が導入される前は、売り手が免税事業者であっても、一定の条件下で仕入税額控除を受けることができました。しかし、インボイス制度の下では、仕入税額控除を受けるためには、インボイスの発行と保存が必須となります。
つまり、インボイスを発行できない事業者から商品を仕入れた場合、インボイス制度が始まった後は、原則として仕入税額控除を受けることができなくなります。例えば、消費者から消費税3万円を受け取り、仕入先に消費税1万円を支払った場合でも、仕入税額控除ができなければ、税務署には3万円の消費税を納める必要があるのです。
そのため、全ての事業者にはインボイス制度への登録が求められており、ほとんどの事業者がすでに登録している状況となっています。
太陽光発電事業者はインボイス制度に登録すべき?
インボイス制度への対応は、所有している太陽光発電が家庭用か産業用かで異なります。それぞれ見ていきましょう。
家庭用太陽光発電の場合
家庭用太陽光発電の場合、特に対応することはありません。なぜなら、家庭用太陽光発電の売電収入は、そもそも消費税の課税対象外とされているからです。最初から消費税が含まれていない売電収入を受け取るため、消費税を仕分けて納める必要がないということです。
また、FIT制度の固定買取価格が引き下げられることもなく、これまで通りの単価で売電収入を得られます。
産業用太陽光発電の場合
一方で、消費税の課税事業者として事業を行っている個人事業主や企業は、適格請求書発行事業者への登録が求められています。また、産業用太陽光発電によって得た収益は、インボイス制度に沿って消費税の仕分けを行わなければなりません。
経済産業省の資源エネルギー庁HPによると、産業用太陽光発電などで売電を行う際は、インボイス制度の登録手続きと登録番号を買取義務者へ提出が求められます。買取義務者とは、管轄の電力会社です。
ちなみに、これから産業用太陽光発電のFIT制度の要件に、インボイス制度の登録が盛り込まれる予定となっています。そのため、産業用太陽光発電を導入する場合、インボイス制度への登録が必須となるでしょう。
太陽光発電事業者がインボイス制度に登録する方法
太陽光発電事業者がインボイス制度に登録するには、次の3つのステップを踏む必要があります。
- 申請書を作成する
- 国税庁に提出する
- 取引先へ通知する
それぞれ具体的に説明していきます。
申請書を作成する
まずは、申請書をダウンロードして必要事項を記載します。電子申請も可能なので、やりやすい方法で行いましょう。
国税庁に提出する
申請書に必要事項を記載したら、国税庁に提出します。紙で申請する場合は、管轄地域の「インボイス登録センター」へ送付します。
取引先へ通知する
継続的に取引を行う取引先に対して、登録番号や交付・受領方法の連絡を行います。この際、電子メールで登録通知を受領しておくのがおすすめです。
産業用太陽光発電はインボイス制度への登録が必要
この記事では、インボイス制度の概要や太陽光発電事業者が登録すべきかどうかを解説しました。
インボイス制度とは、新しい消費税に関する制度であり、登録しなければ原則仕入税額控除ができなくなってしまいます。そのため、ほとんどの事業者はインボイス制度に登録している状況です。
太陽光発電事業者に関しては、家庭用太陽光発電であればこれまで通りであり、インボイス制度への登録は不要です。一方で、産業用太陽光発電を導入するのであれば、インボイス制度への登録が求められるでしょう。
また、これからFIT制度の要件に追加される予定のため、インボイス制度関連の情報はこまめにチェックすることをおすすめします。